楽 律 の 音 楽
平均律クラヴィーア曲集第2巻

平均律も第2巻ですから、音律にまつわる難しい話は忘れて音楽を楽しみましょう!

そして、御使は私に命の水の清らかな「小川=バッハ」を示した。
その小川は水晶のように透き通っていて、神と子羊との御座から出て、
都の大通りの真ん中を流れている。小川の両側には
音符の生命の木があって、
12種の音符の実を結び
その実はオクターブ毎に実り
楽譜の木の葉は諸国民を癒す。
そこには、音律ののろいはもう無くて、
神と子羊との御座は都の中にある。
新約聖書 ヨハネ黙示録22に基づく創作


藤田伊織が記し、藤崎美苗さんに捧げる。
Email : mocfujita@aol.com
ver: Feb 13th, 2010, ver:April 11th, 2010, ver:May 10th, 2010, ver:May 19th, 2010, ver:June 1st, 2010, 日本語版20101011, 1ページ化20120528
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アドリアネ・ムジカについて
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アルトニコルさん
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テレマンさま
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目次 平均律クラヴィーア曲集第2巻の前奏曲とフーガを mp3 とお話で楽しんで下さい。 目次
第2巻の全曲をすぐに聴きたい方は、こちらでどうぞ!


平均律クラヴィーア曲集

第2巻
24の調のすべてによる
前奏曲  と フーガ

作曲者

ヨハン・セバスティアン・バッハ
ポーランド王国及びザクソン選帝侯
宮廷作曲家、音楽監督
合唱音楽指揮者
在 ライプツィヒ

1744年

表題は、ヨハン・クリストフ・アルトニコルによる。


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平均律クラヴィーア曲集第2巻の前奏曲とフーガを mp3 とお話で楽しんで下さい。
目次--- 平均律クラヴィーア曲集第1巻 聖律の音楽 --- 知の音楽 ゴールドベルク変奏曲 ---目次

楽 律 の 音 楽
私の平均律クラヴィーア曲集第2巻の勉強帳
1744年のアンナ・マグダレーナ・バッハ2010
--- これは創作です。---
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私の平均律クラヴィーア曲集第2巻の勉強帳にようこそ!

ヨハン・クリストフ・アルトニコルさんについて
私はアンナ・マグダレーナ・バッハと申します。偉大なマエストロでありますヨハン・セバスティアン・バッハの妻です。皆様にお会いできてうれしく思います。また、この勉強帳をご訪問いただいてありがとうございます。
私としては、私の平均律クラヴィーア曲集第2巻でどのような勉強をしているのか、お伝えしたいのです。

はじめに、ヨハン・クリストフ・アルトニコルさんをご紹介します。この方は現在24歳で将来のある作曲家・オルガニストです。ヴァイオリンやチェロも弾きます。今、私たちの街、ライプツッヒで神学を勉強しています。同時に、ヨハン・セバスティアン・バッハのの作曲と鍵盤楽器のお弟子さんになっています。夫君のヨハン・セバスティアンはこの青年を頼りになる助手のように考えています。ですから、ヨハン・クリストフさんはいつも私たちのそばにいます。娘の一人、エリザベス・ユリアーヌ・フレデリーカは今18歳で、良い子ですし、私の若いときにそっくりだという方もおられます。なんとなく縁があるように思います。

この将来ある青年、ヨハン・クリストフ・アルトニコルさんは、私が進めている「平均律クラヴィーア曲集第2巻」の編纂を手伝ってくれています。ばらばらになっている前奏曲とフーガを「第2巻」としてまとめようとするものです。既に出来ている「平均律クラヴィーア曲集第2巻」の表紙はヨハン・クリストフ・アルトニコルさんが書いてくれました。
表紙には次のように書かれています:

Des Wohltemperierten Claviers Zweiter Theil
bestehend in Praeludien und Fugen
durch alle Tone und Semitonien
verfertigt von Johann Sebastian Bach
Königl, Pohlnisch und Churfürst. Sächs
Hoff Compositeur Capellmeister und Directore Chori Musici
in Leipzig
Im Jahre 1744
平均律クラヴィーア曲集第2巻
前奏曲とフーガからなる
24の調すべてにわたって
ポーランド王及びザクソン選帝侯の
宮廷作曲家でありライプツィヒ音楽監督の
ヨハン・セバスティアン・バッハ作曲
1744年
皆様もお気づきのように、この表題はヨハン・セバスティアンが22年前に書いた平均律クラヴィーア曲集第1巻のそれと似ています。
平均律クラヴィーア曲集
すなわち 前奏曲と遁走曲 全ての全音と半音を通して
長三度すなわちド、レ、ミとレ、ミ、ファの短三度を含めて
学習熱心な若い音楽家の卵の教材となり向上をもたらし
また、熟達した演奏家の音楽の楽しみに供するための
ヨハン・セバスティアン・バッハ ケーテン宮廷楽長
構想、作曲の曲集
ライプツィヒ
1722年
平均律クラヴィーア曲集第2巻では、「前奏曲と遁走曲 全ての全音と半音を通して、 長三度すなわちド、レ、ミとレ、ミ、ファの短三度を含めて」や「学習熱心な若い音楽家の卵の教材となり向上をもたらし」、また、「熟達した演奏家の音楽の楽しみに供するための」という言葉は使われていません。「長三度すなわちド、レ、ミとレ、ミ、ファの短三度を含めて」に関しては、もう今では必要の無い説明になっています。既に、誰でも長調と短調の違いを知っているのです。
また、1722年の平均律クラヴィーア曲集は、明確な目的が「教材となり向上をもたらし」とか「音楽の楽しみに供する」と書かれていました。私たちがお仕えし、暮らしもしたケーテンの宮廷では、宮廷やケーテンの教会のために仕事として書かれた楽譜は、宮廷の財産であるので、たとえその作曲者であっても持ち出すことは通常許されないのでした。担当官によれば、「ヨハン・セバスティアン自身のための写譜、無伴奏のヴァイオリンのための曲のように、どなたかに献上された楽譜、宮廷や教会にまったく関係のない作品、あるいはバッハ家の家族だけのための作品や楽譜ならば、例外となる。」ということでした。それで、我が夫君は、ライプツッヒのトーマス教会のカントールの職に付くために、アンハールト・ケーテンの宮廷を離れる前に、平均律クラヴィーア曲集の楽譜の束に表紙をつけ、そこに少しの装飾とともに「目的」を書き込んだのでした。おかげで、幸運にも、ここにもとの平均律クラヴィーア曲集の楽譜があるのです。今では、あえてそうした「目的」を書き込む必要はありませんでした。


アンナ・マグダレーナ・バッハ
私の仮想肖像画です。
藤田伊織さん2009年作成
自己紹介です。

平均律クラヴィーア曲集第2巻

第14番前奏曲
二つ折りの楽譜の例
第14番のフーガは裏面にあります。
平均律クラヴィーア曲集第2巻の各々の前奏曲とフーガは、もともとはそれぞれ別の二つ折りの楽譜用紙の両面に書かれました。基本的に、前奏曲は一つの面、フーガは反対の面に書かれました。それで、前奏曲を弾いている間に、ページをめくらなくてもいいのです。前奏曲が終ってフーガを弾くときには、裏返すだけでいいのです。そこで、ヨハン・クリストフ・アルトニコルさんは全曲の写しをまとめて、それに表題を書いた表紙をつけてくれました。ヨハン・セバスティアンの弟子たちも私、アンナ・マグダレーナも浄書の写譜を手伝いました。

ヨハン・セバスティアンは第2巻をこのようにまとめることにはあまり必要を感じていないようでした。それより、たとえば「第1巻」のもともとの第14番嬰へ短調を新しく美しい曲、今では第2巻の第14番になっていますが、と取り替えようと考えていたようでした。加えて、ヨハン・セバスティアンは、お弟子さんのもっている写譜においてすら、修正を加えていきたいと思っていて、まだ、それぞれ完成したという意識ではありませんでした。

我が夫君は自身の「第1巻」の解説で、
「確かに、現在、平均律のもう一つのまとまりを作る計画があります。私の考えでは、第2巻を作る必要はないと思うのです。この20年間、平均律クラヴィーア曲集は役に立ってきています。それなりの改訂が必要なら、たとえば、第14番嬰へ短調を、今手元にある新しくて美しい曲に変えたいとすら思います。」
でも同時に、我が夫君は私が二人の子供たち、特に今10歳のヨハン・クリスティアンのために新しいまとまった教本を望んでいることを知っています。それは、マリア・バルバラの息子ウィリアム・フリーデマンが「平均律」クラヴィーアの練習をしていたのと同じです。それで、ヨハン・クリストフ・アルトニコルさんが、新しい「巻」に平均律クラヴィーア曲集第2巻という名前をつけたとき、大きな寛容をもって受け入れたのです。
実を言えば、逆に新しい平均律クラヴィーア曲集をまとめる時間がなかっただけなのかも知れませんから、今となっては何をいっても言い訳になるとも考えたのでしょう。

「楽律」で、「聖律」でないのは何故でしょう?

Sacred

Sacred

Sacred

Sacred

Sacred

Sacred

MST は "Music of Sacred Temperament"
だけでなく  "Music of Sweet Temperament" の頭文字にもなります。

ドイツ語では "聖 sacred" は "sakral", and "楽 sweet" は "süß"です。

音律なり調律には、詳しいことは私にはわかりませんが、天は深刻な混乱をもたらしたと言われます。でも、12の音を私たちにお与え下さったことは、素晴らしいことです。ヨハン・セバスティアンはこれらの12の音を「ただ神の栄光のために Soli Deo Gloria」一つ一つめぐって音楽の旅をし、私たちが罪の意識を持ちながらも音楽によって救われることを望んだのでした。我が夫君は平均律クラヴィーア曲集の第24番のフーガのある最後のページの一番下に「ただ神の栄光のために」と書き込みました。音律の微妙な差異を云々するより、12の音で音楽が成り立つという事実により重きが置かれるべきと考えました。ですから、聖律を必要としたのです。

実際、1722年の平均律クラヴィーア曲集の多くの前奏曲とフーガには、1744年のものと比べて、ある種の聖なる雰囲気があります。特に、最初の第1番の前奏曲とフーガ、そして第24番、最後の前奏曲とフーガは、祈りの音楽の領域にあるといえるでしょう。これと異なり、第2巻には「ただ神の栄光のために」は書き込まれていません。
関係するかどうかは、わかりませんが、違いといえば、音楽の形式の上で、前後二つの部分がそれぞれ反復する2部形式なのは、1722年の平均律クラヴィーア曲集では、第24番の前奏曲のみですが、1744年のものでは、10曲がこの2部形式となっています。

第2巻の各曲の性格からして、前奏曲とフーガの纏まりは当然ありますが、それ以外の演奏の順番には意図されたものはありません。第1巻においては、順番も聖なる意味を持っています。そういう観点からすれば、第2巻は24の前奏曲とフーガを単に合本しただけのものともいえます。そうはいっても、我が偉大な夫君は、その自筆譜に曲名とともに第何番と自身で書いてもいます。たとえば、第14番には、はっきりと"Praeludium ˜. 14"とあります。私も、第2巻においても、第1番の前奏曲は、第2巻の最初の曲としての重要な役割を音楽の動機を示すことによって果たしていると考えます。ですから、第2巻の前奏曲とフーガを順番に演奏したり聴いたりすることは興味深く、また楽しいのことなのです。

カンタータ
(BWV 210a)
"O angenehme Melodei!"
おお快き調べ!
Ihr Sorgen, flieht,
Flieht, ihr betrübten Kümmernisse!
Ein singend Lied
Macht herbes Grämen süße,...
心配から離れよ
困苦から逃れよ
よき調べの歌
つらき悲しみを甘く溶かそう
Sweet

Sweet

Sweet

Sweet

Sweet

Sweet


私の平均律クラヴィーア曲集第2巻の勉強帳
ヨハン・クリストフ・アルトニコルさんによる解説
私アンナ・マグダレーナ・バッハ2010が1744年にお願いしたもの。
--- これは創作です。---
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聴こえてくる曲は、カンタータ「目覚めよと、呼ぶ声が聴こえ」から、
第6番ソプラノとバスの二重唱のアリアです。


ヨハン・クリストフ・アルトニコルさんによる解説



微笑んでおられます。
大先生の奥様 アンナ・マグダレーナ・バッハさまからこの平均律クラヴィーア曲集第2巻の勉強帳に何か解説を書くようご依頼を受けました。しかし、私ごときに何が書けるのでしょう?しばらく考えました。そして、私がバッハ先生のところで、写譜をするメンバーの一人として働かせていただいているので、楽譜について何がしかの説明をすればいいのでは、と思いつきました。

平均律クラヴィーア曲集第2巻
私の尊敬する先生は、私が書きましたこの飾り文字を褒めてくださいました。

奥様のお若いときの肖像です。

ともかく、まずは自己紹介させてください。

私は1720年にシレジア、あるいはサイデンベルクとも呼ばれますが、のベルナの生まれです。ですから、今は24歳です。私の父は織物業をしています。1733年にラオバン・リソウムで教育を受けました。ラオバンはポーランドの南西の街です。その後、1740年から、つい先日までブレスロウの聖マリア・マグダレーナ教会で歌手兼副オルガニストとして働いていました。ブレスロウ、あるいはウロカウはロアーシレシアンの首都です。4ターラーの奨学金(すごい額です)を1月にいただけることになって、今はこの3月から、ライプツィヒ大学で神学を勉強しています。それで今はライプツィヒにおります。音楽の面では、バッハ先生のもとで、作曲と鍵盤楽器を勉強しています。バッハ先生の合唱隊でバス歌手になれれば、追加収入が期待できます。
バッハ先生のご子息のカール:フィリップ・エマニュエルさまは今30歳で、既に最も有名な現代音楽家の一人です。最近、ベルリンでヨハンナ・マリア・ダーネマン嬢とご結婚されたそうで、バッハ先生はとてもうれしそうです。バッハ先生のご令嬢のエリザベス・ユリアーナ・フリーデリカ嬢は18歳です。彼女はバッハ先生家族とご一緒に暮らしています。彼女に歌を作ってプレゼントしようと思います。

1741年は、今ではゴールドベルク変奏曲として有名な「クラヴィーア練習曲集第4部 アリアと30の変奏曲」が出版された記念の年です。私もすぐに手に入れて、練習して、また楽しんでいます。この出版がきっかけで、私はバッハ先生の弟子になりました。そして、自筆譜や手書き譜にも出会うことが出来るようになりました。もちろん、バッハ先生が作曲された作品は、今もほとんどが自筆譜のままです。
ところで、同一の曲の自筆譜と印刷譜には、何か違いがあるのでしょうか?はい、あります。自筆譜ではソプラノ譜表があります。印刷された楽譜では、トレブル(ヴァイオリン)譜表になります。ハ音記号が五線譜の下から第1番目の線を指定すれば、ソプラノ譜表です。これはソプラノの歌の声部に使われています。ト音記号が五線譜の下から第2番目の線を指定すれば、トレブル譜表です。こちらの方がより多く使われるようになってきています。 トレブル譜表は、ヴァイオリン、フルート、オーボエなどの楽譜にも使われます。



藤田伊織による修正あり
これらの32分音符のある楽譜は21世紀には存在しない、
藤田が書き加えたものです。

これは平均律クラヴィーア曲集第2巻の前奏曲の珍しい自筆譜です。ここではバッハ先生はトレブル譜表とバス譜表の大譜表を使っています。平均律クラヴィーア曲集第2巻の第1番と第17番以外の他の曲では、ソプラノ譜表とバス譜表が使われています。
我が偉大なバッハ先生は、自筆譜では普通、鍵盤楽器の曲にはソプラノ譜表とバス譜表の大譜表を使います。しかし、鍵盤曲に作品を出版する際には、トレブル譜表とバス譜表の大譜表を選びました。1726年から1731年の「クラヴィーア練習曲集 6つのパルティータ」でもトレブル譜表とバス譜表の大譜表で印刷されています。
上記の大譜表をご覧ください。ここでは、C4の音符が上下の真ん中にあるでしょう。この上下対称がとても強くて、上の五線譜と下の五線譜の間が狭くなってしまっているのです。実は、これでは、右手の高音部と左手の低音部の区別が付きにくいのです。これは、トレブル譜表とバス譜表の大譜表の問題ではなくて、上の五線譜と下の五線譜の間が狭いことが問題なのです。ト音記号を使うときに上下対称が過剰に意識されるのでしょうか?そんな必要は、初めからなさそうですが。
ダブルラストラーレで2段の五線譜を作るときと同じにして、ただ単に上の段にト音記号を普通につければ解決すると考えます。ただ、習慣とか意識とかは簡単には変えられないのでしょう。

さて、エリザベス・ユリアーナ・フリーデリカさんに歌の贈り物をと、先ほど言いましたが、作曲の面ではお父上のようなわけにはいきません。そこで、かわりに、バッハ先生の曲をバッハ家の音楽の集いで彼女と歌いました。
2年前の1742年にライプツィヒに来たときに、このカンタータが偶然トーマス教会で演奏されました。素晴らしく、また男女二人で歌うのにうってつけです。

"Wachet auf, ruft uns die Stimme" すなわち  「目覚めよと、呼ぶ声が聴こえ」です。
三位一体後第27主日用カンタータ
第6番 アリア 二重唱 ソプラノとバス
sopran :
baß :
sopran baß :
sopran :
baß :
sopran baß :

Mein Freund ist mein,
und ich bin sein,
die Liebe soll nichts scheiden.
Ich will mit dir
Du sollst mit mir
im Himmels Rosen weiden,
da Freude die Fülle, da Wonne wird sein.
ソプラノ :
バス :
ソプラノ バス :
ソプラノ :
バス :
ソプラノ バス :

私の友は私のもの、
そう、私はお前のもの、
二人の愛はとこしえに。
あなたとともに、
お前とともに
天のバラの花園で、
あふれる喜びにひたりましょう。

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平均律クラヴィーア曲集第2巻
目次

曲名をクリックすると、そのページに行きます。
 や  をクリックしてみて下さい。
全曲連続演奏はこちらです。( 170MB )

前奏曲 midiフーガ midi調( Key )BWVmp3 P&F
前奏曲第 1番 フーガ第 1番 ハ長調C-dur87001 P & F
前奏曲第 2番 フーガ第 2番 ハ短調c-moll871 02 P & F
前奏曲第 3番 フーガ第 3番 嬰ハ長調Cis-dur872 03 P & F
前奏曲第 4番 フーガ第 4番 嬰ハ短調cis-moll873 04 P & F
前奏曲第 5番 フーガ第 5番 ニ長調D-dur874 05 P & F
前奏曲第 6番 フーガ第 6番 ニ短調d-moll875 06 P & F
前奏曲第 7番 フーガ第 7番 変ホ長調Es-dur876 07 P & F
前奏曲第 8番 フーガ第 8番 嬰ニ短調dis-moll877 08 P & F
前奏曲第 9番 フーガ第 9番 ホ長調E-dur878 09 P & F
前奏曲第10番 フーガ第10番 ホ短調e-moll879 10 P & F
前奏曲第11番 フーガ第11番 ヘ長調F-dur880 11 P & F
前奏曲第12番 フーガ第12番 ヘ短調f-moll881 12 P & F
前奏曲第13番 フーガ第13番 嬰ヘ長調Fis-dur882 13 P & F
前奏曲第14番 フーガ第14番 嬰へ短調fis-moll883 14 P & F
前奏曲第15番 フーガ第15番 ト長調G-dur884 15 P & F
前奏曲第16番 フーガ第16番 ト短調g-moll885 16 P & F
前奏曲第17番 フーガ第17番 変イ長調As-dur886 17 P & F
前奏曲第18番 フーガ第18番 嬰ト短調gis-moll887 18 P & F
前奏曲第19番 フーガ第19番 イ長調A-dur888 19 P & F
前奏曲第20番 フーガ第20番 イ短調a-moll889 20 P & F
前奏曲第21番 フーガ第21番 変ロ長調B-dur890 21 P & F
前奏曲第22番 フーガ第22番 変ロ短調b-moll891 22 P & F
前奏曲第23番 フーガ第23番 ロ長調H-dur892 23 P & F
前奏曲第24番 フーガ第24番 ロ短調h-moll893 24 P & F
前奏曲フーガ調( Key )BWVP&F
申し訳ありませんが、BWVとは何のことかわかりませんが、参考のために残しています。
midiからmp3へはTruePianosによりました。


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私の平均律クラヴィーア曲集第2巻の勉強帳
1744年のアンナ・マグダレーナ・バッハ2010
--- これは創作です。---
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前奏曲第1番ハ長調
我が偉大な夫君が平均律クラヴィーア曲集第2巻の前奏曲第1番ハ長調で目指すものは何かというと、その楽譜の中にBACHという音楽一族の名を埋め込むことではないかと思います。
第1小節の音符は、"CCCDEGEFGFDECHAGBEGCB" です。バッハの名前、BACH が見えるでしょう。この前奏曲は、ハ長調なのに、第1小節に2つの Bs あるいは Bb があります。英語では Bb ですが、ドイツ語では B です。かわりに、英語の B は ドイツ語では H です。音の響きはとても良くて、でも、異例です。旋律線としては美しく、2つの Bs は不可欠です。
和声進行の観点からすると、最初の小節は、C - C7 となります。続く小節では、Dm - G7 です。こんな和声進行を私は見たことがありませんでした。それとも、C - C7 は、イオニア旋法と Bb を持つミクソ・リディア旋法のつながったものでしょうか?
それと、もう一つ特別なのは、ヨハン・セバスティアンがこの鍵盤音楽の自筆譜をト音記号のある大譜表で書いたことです。このようなことはめったにありませんでした。それについては、 ト音記号の謎でアルトニコルさんが案内してくれます。

ともかく、私はこの前奏曲が大好きです。この前奏曲の音が、土星やそれよりもまだ遠くへ飛んでいく、なんて想像します。でも、どうやって?


主旋律線は自由で心やすいでしょう。これは、最終版まで進化してきたのです。

初期の版

もっと早い時期の版
ここにはこの前奏曲に繊細なかつ美しい趣を与える32分音符の動きはありません。
低音部のオクターブ・ユニゾンがまだありませんでした。音符の動きも単純です。


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フーガ第1番ハ長調
第3小節に始まり第5小節までの16分音符のつながりが、第2主題としてこのフーガの性格を示しています。この主題は主に低音部に現れます。ですから皆さんは左手を十分働かさねばなりません。
とても自然です。ですから、平均律クラヴィーア曲集第2巻にあまり堅苦しく向き合わなくてもいいのです。
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前奏曲第2番ハ短調
この動機は無窮動(むきゆうどう、perpetuum mobile)の一種です。曲の始まりから終わりまで、同じ音型が何度も繰り返し演奏されることが特徴です。あたかも永久運動のような感じを与えるのですが、この前奏曲は忙しく終点に向かって突き進んでいきます。演奏には、リズムの鋭敏さが必要です。

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フーガ第2番ハ短調
主題は比較的短いものです。しかし、このフーガは単純ではありません。自由で洗練されています。主題の拡大を見つけることができるでしょう。迷って混乱に陥らないように気をつけましょう。
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前奏曲第3番嬰ハ長調
滑らかな分散和音が最後近くまで続きます。短いフーガがそれに続いて現れ、そして終ります。
いくつか古い版があります。
和音だけのもの  mp3 ---- 平均律第1巻の前奏曲第1番の分散和音型 mp3 ---- 別の形の分散和音 mp3
可能性としては、多くの分散和音の形が使えます。
でも、平均律第1巻の前奏曲第1番の分散和音型は、この曲には不向きでしょう。
いかがですか?


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フーガ第3番嬰ハ長調
このフーガは始まってすぐ、第2小節に鏡像フーガが現れます。鏡像フーガは楽譜に記されている音符を全て上下逆に読み替える形です。第2小節の答唱が主題の鏡像になっています。
こんな感じです:
ヨハン・セバスティアンが私を呼びます。
―    タッ タッ ―     タッ タッ ―
すると、私は答えます。
―    タッ タッ ―
そして、私たちの甘い会話が続くのです。

右の図は、主題だけのところを示しています。第2小節に鏡像が現れます。私は鏡像のようなもの。ヨハン・セバスティアンあっての私です。常に私の偉大な夫君を立てております。



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前奏曲第4番嬰ハ短調
この前奏曲は第1巻第4番の前奏曲と同じに美しい。この前奏曲では音は上昇して始まりますが、第1巻の前奏曲は下降して始まります。当然、違いがありますが、美しくて落ち着いた感じは同じです。
この曲を弾いたり、聴いたりしますと、とても幸せに感じます。



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フーガ第4番嬰ハ短調

このフーガは、もともとはハ短調で書かれました。ご覧のように、平均律クラヴィーア曲集第2巻のために、嬰ハ短調に移調されたのです。そうであっても、このフーガは第4番の前奏曲と組み合わせるにふさわしいものとして選ばれました。

前の前奏曲を聴きながらしばらくの間、私は幸せに浸っておりましたが、今すべきことがたくさんあるのです。写譜や家事ほか、いろいろです。このフーガは明瞭で、気分の切り替えにぴったりです。



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前奏曲第5番ニ長調
ファンファーレを鳴らしましょう。ヨハン・クリストフ・アルトニコルさんが初めて我が家に来られたときの情景を思い出します。若くて希望に満ちた青年です。私たちの娘のエリザベス・ユリアーネ・フレデリーカがこの青年を見たとき、娘の目が女の子らしく輝いたのでした。すぐに、ヨハン・クリストフ・アルトニコルさんは家族の一員のようになり、私の平均律第2巻のとりまとめを手伝ってくれるようになりました。



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フーガ第5番ニ長調
この単純さが重要な意味を持ちます。対位法の規則に密着しようとしています。これはまるで、ヨハン・セバスティアンとヨハン・クリストフ・アルトニコルさんの静かな会話のようです。その雰囲気は先生と弟子の関係を超えています。


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前奏曲第6番ニ短調
この前奏曲には活気にあふれた生命の鼓動を感じることができます。この曲を弾く喜びは、私を満たすだけでなく、あちこちにあふれ出します。自分だけ楽しんでいるのは申し訳ない気がして、多くの人に聴いていただけるよう、クラヴィーア協奏曲に編曲したいと思うほどです。



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フーガ第6番ニ短調
我が偉大な夫君は半音階進行がとても好きです。
D-C sharp-C-B-B flat-A
A-G sharp-G- F sharp-F-E
C-B-B flat-A-G sharp-G
D-E flat-E-F-F sharp-G
こんな半音的進行がこのフーガにはあります。こうした半音階進行には「静かな情熱」のようなものが表現されています。


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私の平均律クラヴィーア曲集第2巻の勉強帳
1744年のアンナ・マグダレーナ・バッハ2010
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前奏曲第7番嬰ニ長調
この前奏曲は魅力的ですよね。左手と右手が囁きあっています。瞑想的気分を表現しています。



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1744年のアンナ・マグダレーナ・バッハ2010
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フーガ第7番嬰ニ長調
このフーガには第2巻の前奏曲やフーガなかでもっとも臨時記号が少なく使われています。ほとんどすべての音符は嬰ニ長調の音階に属しています。それで、自然で、緊張が少ないのです。

さあ、合唱曲を歌いましょう。

Lob Preis und Dank sei unserm Gott!



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1744年のアンナ・マグダレーナ・バッハ2010
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前奏曲第8番嬰ニ短調
私は地中海の海の水の泡が真珠の輝きのように太陽の光できらめくというエーゲ海諸島に行ったことはありませんし、これから行くこともないでしょう。時折、私の楽しい想像はライプツィヒの街から遠い場所に飛んでいきます。



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1744年のアンナ・マグダレーナ・バッハ2010
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フーガ第8番嬰ニ短調
このフーガは私をエーゲ海の夢からドイツの森へ引き戻してくれる。深くて、力強い。


藤田伊織さんが2010年9月に撮影した写真
ケーテン城のバッハ博物館でのものです。

ケーテンにいた頃、私は未来のことを夢見ていました。



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1744年のアンナ・マグダレーナ・バッハ2010
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前奏曲第9番ホ長調
これは叙情詩です。音の葉は滑らかに鍵盤の上を漂います。中ほどでの タンタントントントンというところは特に私の詩的感覚を呼び起こします。


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1744年のアンナ・マグダレーナ・バッハ2010
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フーガ第9番ホ長調
ドレファミレドシ、ラシソドレミ はこの第9番ホ短調のフーガの主題です。ド を中心に主題の音が1オクターブの範囲内で繊細に動きます。グレゴリア聖歌のようです。

宮廷音楽家ヨハン・カスパール・フェルディナンド・フィッシャー様からの手紙が届いています。アリアドネ・ムジカについてです。主人には内緒でお願いしましたら、お返事をいただいたのです。

アリアドネ・ムシカについて

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アリアドネ・ムシカについて

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1744年のアンナ・マグダレーナ・バッハ2010
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アリアドネ・ムシカについて

宮廷音楽家ヨハン・カスパール・フェルディナンド・フィッシャー様からの手紙

ジュマペル ヨハン・カスパール・フェルディナンド・フィッシャーです。

アンナさん今日は。お元気ですか。ここに私の肖像画を入れておきます。でも、これは私の若いときのものですよ。私は、今88歳。じいさんです。ここは、ラシュタット、バーデン・ヴェールデンブルクです。ライプツィヒからとても遠くて約300km離れているでしょう。

1691年に私はマリア・フランチスカ・マカシン・フォン・ステルネルフェスと結婚しました。でも、若いときに亡くなってしまい、再婚したのが、アンナ・フランチスカとでした。貴方は私の2番目の妻と同じ名前ですね。そのアンナも1732年に亡くなってしまいました。今は男やもめです。アンナさん健康に留意して下さい。偉大なご主人より長く生きなくてはなりません。

ヨハン・セバスティアン・バッハと音楽について語り合う機会があったらよかったのにと思います。でも、もう歳でライプツィヒへの旅は無理です。Fischer 漁師が Bach 小川のところに赴く、なんて語呂がいいでしょう。

平均律クラヴィーア曲集は偉大な作品です。ラシュタットの宮廷の音楽家の一人も、その写譜を持っています。トーマス教会で合唱隊に所属していたときに、自分で写させてもらったのだそうです。それに、アンナさん、彼は貴方を知っていて、「バッハ先生は厳しかったけれども、アンナ・アマグダレーナは母のような方だった。陽気で気が利いて。大好きでした。」と言っていました。ところで、何で出版しなかったのかなあ?私がアリアドネ・ムジカと題して、20の異なる調の前奏曲とフーガのオルガン曲集を、24でなくてすまないが、作曲したときには完成後すぐの1702年に出版したものでした。アンナさんは今、平均律クラヴィーア曲集第2巻をまとめているのであれば、出版したらどうですか?私も1部買いたいと思います。

多くの方が、私のアリアドネ・ムジカを同じような曲集の構成だからというわけでヨハン・セバスティアン・バッハの平均律クラヴィーア曲集の重要な先導だと言ってくれます。
前奏曲とフーガ

第1番 ハ長調、 第2番嬰ハ短調、 第3番 ニ短調、 第4番 ニ長調、 第5番 変ホ長調、 第6番 ホ・フリジアン、 第7番 ホ・ドリアン、 第8番 ホ長調、 第9番 ヘ短調、 第10番 ヘ長調、 第11番 嬰ヘ短調、 第12番 ト短調、 第13番 ト長調、 第14番 変イ長調、 第15番 イ短調、 第16番 イ長調、 第17番 変ロ長調、 第18番 ロ短調、 第19番 ロ長調、 第20番 ハ短調

ご覧のとおり、体系的な順番とは言えません。
No. C-D-EF-G-A-B
Major 1 x 4 5 810 x 1314161719
minor20 2 3 x ? 91112 x 15 x 18
No.6 in E Phrygian and No.7 in E Dorian

バッハさんの平均律クラヴィーア曲集との違いは他にもあります。私の作品はどれも短い曲なのです。イ短調のフーガは一番短いのですが、たった7小節です。それから、最も大きな違いは、アリアドネ・ムジカはオルガンのための作品であることです。ですから、調律が個人でも可能なクラヴィーアとは、違いますから、平均律という世界を開拓するという意識はありませんでした。オルガンでは演奏家がすぐにその場で調律することなどできません。


宮廷音楽家ヨハン・カスパール・フェルディナンド・フィッシャー
アンナさん、将来の平均律クラヴィーア曲集第2巻の第9番のフーガ ホ長調の写しを送ってくださり、本当にありがとう。アンナさんは、これが、私の作品の著作権を阻害するかもしれないと、ご心配なのですね。何も、問題はありませんよ。
よく見てみましたが、アリアドネ・ムジカと貴方のフーガの明確な結びつきは私の第8番のフーガ ホ長調の主題をバッハさんが使っていることです。比較すれば、似ています。私が、いやな思いをしているかって、そんなことはありません。主題は同じでもフーガはまったく異なります。私のは短いし、バッハさんのは長くてとても複雑です。なにも問題はありません。それどころか、バッハさんが私のと同じ主題を用いてこのような偉大なフーガを作曲されたことを光栄に思うくらいです。

私のはこれです。

これが、バッハさんのです。

実を言えば、何十年も前、別の調のものでしたが、有名なヨハン・ヤコブ・フロベルガーのファンタジアに同じ6音の主題を見つけていたのです。


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前奏曲第10番ホ短調
私はこの前奏曲を、「落涙そして喜びのクーラント」と名づけました。



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フーガ第10番ホ短調
平均律クラヴィーア曲集第1巻を勉強した音楽愛好者や学習者は、このフーガの主題が第1巻の第15番のフーガの主題とほとんど同じだと気付くでしょう。でも、第1巻のものより長いのです。長さで言えば、第1巻そしてこの第2巻を通しても、一番長い主題だと思います。また、動機について言えば、両者は異なるのです。私は両方とも大好きです。


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前奏曲第11番へ長調
この流れる旋律は私をやさしく包み込みます。そして、終らない。我が偉大な夫君はこの前奏曲第11番を第1巻のと取り替えて、入れたいと思っているようです。



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フーガ第11番ヘ長調
16分の6拍子ということは、1小節に16分音符が6拍ということですか?各小節で6拍勘定しなければならないのかしら?どうも、違うと思います。3つの16分音符が1塊になって、それが2拍です。このフーガは2拍子です。タン タン タン タン が答です。 


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前奏曲第12番ヘ短調
なんという美しさ!と、ヨハン・セバスティアンの前妻の息子であり、活躍中の優れた現代音楽作曲家のカール・フィリップ・エマニュエルは私に言いました。「この前奏曲は美しいだけでなく、現代的だ。」 そうです。突然の気分の変化はありませんが、これはほとんど多感様式といってもいい曲です。カール・フィリップ・エマヌエルやヴィルヘルム・フリーデマンは、。「率直で自然な」感情表現を重んじる多感様式の旗手だそうです。
カール・フィリップ・エマニュエルはこうも言いました。「私のできることは、この様式のようなことだけだが、偉大な父上は、したいと思えば、これもまた、できるのです。」



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フーガ第12番ヘ短調
このフーガの動機は、前の前奏曲とはまったく違って見えるかも知れませんが、リズムの構造は同じなのです。音符の動きを見てください。上下が逆になっているのです。この前奏曲とフーガの組み合わせは、熟慮がもたらしたものなのです。


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前奏曲第13番嬰ヘ長調
最初から最後まで、
「 ターン タ ターン タ ターン タ 」
が続きます。
愛する主人と一緒に踊りたくなりました。



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フーガ第13番嬰ヘ長調
このフーガは導音の嬰ホのトリルから始まっています。珍しいし、面白いと思います。


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前奏曲第14番嬰ヘ短調

Sweetpeaさんに捧げます。
Ich will dir Blumen schenken.
14という数字は私たち、バッハ一族にとっては大変特別です。アルファベットの順番を数字に直すと、
2 + 1 + 3 + 8 = 14 は B + A + C + H = BACH です。
ですから、この前奏曲は私たちにとって大切なものです。それに、第14小節に一連の音符があります。  H Ais Cis です。これは、 H A-B C で、 BACH からできています。Ais は ドイツ語では B です。我が偉大な夫君は、「愛するアンナ・マグダレーナ。音の語呂あわせと言っても、それは考えすぎだよ。」と言うでしょう。とにかく、私はこの前奏曲が大好きです。穏やかで、美しい。ですから、この曲を第1巻の第14番にしてしまおうという考えは、あきらめさせねばなりません。

この前奏曲を弾くときには、左手は右手より少しだけ優しくしなければなりません。しかり、左手のリズムはしっかり保たねばなりません。旋律線は大変多くの音の長さの音符のつながりですが、旋律そのものは自然に流れ出してきて、この世ならぬ浮遊感をかもし出します。

ところで、自筆譜では第2小節で♯記号がCのところにありますが、これは次の16分音符のEに対応したものなので、気をつけてください。これはそうした書き方なのです。

ちなみに、上の段はソプラノ譜表でハ音記号が付いています。下から1番目の線のところがCです。



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フーガ第14番嬰ヘ短調
最初の3つの音は C#, A and F# です。 言い換えれば、嬰ヘ短調の ミ・ド・ラ です。これらの音は力強くて、叩くようです。前奏曲第14番の最初の3つの音を思い出して下さい。やはり下降音形で、 F#、 C# と A です。そうです。これらは ラ・ミ・ド ですが、フーガとは逆に、非常な繊細さをもって弾かれる必要があります。第14番の前奏曲とフーガは共通の基本的性格を持つと同時に、明確な個性的差異を現します。

私はこのフーガも大好きです。でも、強くて叩くような緊張は私には少しきついので、2種類の合奏にしてみました。弦楽合奏と、管楽合奏です。バッハ家の合奏なら、我が偉大な夫君を驚かせることができるでしょう。


弦楽- - -管楽

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1744年のアンナ・マグダレーナ・バッハ2010
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前奏曲第15番ト長調
最初の3小節と次の3小節においては、右手と左手が同じ音形を交代で弾くことになります。これはよい練習になります。弾く人はオクターブのために両手の指を拡げなくてはなりません。これもよい練習です。第48小節から今度は音階の練習になります。
ラソファミレドシラ ヒポドリアン
ソファミレドシラソ ミクソリディアン
ファミレドシラソファ リディアン
それに加えて可愛い曲です。



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鍵盤のためのクーラント ト長調 (ツォメリン氏の音楽帳から)
ゲオルク・フィリップ・テレマン先生からの寄稿


ゲオルク・フィリップ・テレマン

私は、法律、語学そして科学をライプツィヒ大学で学びました。大学在学中の1年目に学生によるオーケストラであるコレギウム・ムジクムを創立し市民に公開された演奏会を始めました。その後、ライプツィヒ劇場のためにオペラ作品を作り、1703年にはライプツィヒの音楽監督にもなりました。まあ、ライプツィヒでは私は著名でした。
自分の都合もあって、トーマス教会のカントールの職に1722年に応募はしました。当時は、最初、当然にバッハさんや他を抑えて私が選ばれました。なにしろ、自慢ではなくてライプツィヒの人たちのほとんどは私や私の音楽のことを知っていたのですから。しかし、結局は、私は音楽の市場が広くて儲かりそうなハンブルクに引き続き勤めることにしたのです。ハンブルクは商業都市でオペラや家庭音楽の需要が大きかったのです。それに老舗というか旧態の出版社がハンブルクにはなかったので、自分で楽譜などの出版事業をすることができました。
バッハさんがライプツィヒで同じ職に応募していることは当初は知りませんでした。私でなければ、バッハさんが選ばれてそれこそ当然です。ライプツィヒのトーマス教会のカントールにはバッハさんが最適です。

私は1744年のゲオルク・フィリップ・テレマンです。皆さん、ごきげんよう。
ベルリンのカール・フィリップ・エマニュエル君が私に手紙をよこして、こう言ってきました。
「親愛なる私の名付け親様、お願い事があります。私の母、アンナ・マグダレーナが先生に取り次いで欲しいとのことです。母は私の平均律クラヴィーア曲集第2巻の勉強帳に何か寄稿をお願いできないか、とのことでした。
この鍵盤のためのト長調のクーラントは、これまで広く、私の父ヨハン・セバスティアン・バッハの作品と思われてきました。というのも、ツォメリン氏の音楽帳に書き込みがあり、この作品はライプツィヒのヨハン・セバスティアン・バッハ氏の作曲したもの、となっていたからです。しかし、これはたしかに先生の御作曲によるものです。それから、1709年頃の先生の作曲による二つのヴァイオリンのためのト長調の協奏曲の御自筆譜は我がライプツィヒのバッハ家の宝物です。そんあわけで、私の平均律クラヴィーア曲集第2巻の勉強帳のト長調のページに寄稿をお願いしたいそうです。

私がアイゼナハにおりました頃、バッハさんが1685年に生まれました。1708年から1781年までは、バッハさんはアイゼハから75km西のワイマールにおられました。アイゼナハとワイマールは隣同士の都市です。バッハさんは私より4歳年下ですが、私はバッハさんを優秀な若い音楽家だと認めておりましたから、親しい友人になりました。1714年に、この年には私はフランクフルトにおりましたが、バッハさんの息子のカール・フィリップ・エマニュエル君の名付け親になりました。2番目の名前、フィリップは私の名前からとったものです。それで、カール・フィリップ・エマニュエル君は私のことを「私の名付け親様」と呼ぶのです。バッハさんはまた、私の音楽出版の最も有名なお客でして、1738年の「パリ」を始め、数多く購入していただいております。バッハさんが私の音楽に関心を持っていただいていることをとてもうれしく思っています。
私は、作曲を沢山いたしますし、その多くを印刷して出版していますから、実を言うと、もう覚えきれないほどです。作曲の様式にはバッハさんの作品と似たところがあると思います。

この種の音の動き
は、バッハさんのものです。

バッハさんのペンが楽譜に書く音楽の技法
人々から大いなる喜びをもって見られている。
それは、他の音楽家からは、時々、ねたみの対象になってしまう。

** midiで聴く * mp3で聴く **

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フーガ第15番ト長調
このフーガでは私の頭はぐるぐる廻しになるような感じがします。昨夜、家族とワインを少々いただいたのですが、そのせいでめまいがするのでしょう。主題は16分音符の分散和音でできていて、8小節にもわたって続きます。分散和音がフーガの主題になりうるか、ですって?皆さんはそんなこと考えたこともないでしょう。そうです。私の偉大な夫君はそのくらいのこと、朝飯前です。


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前奏曲第16番ト短調 ラルゴ
低い位置の最初のトの音は印象的です。その音は長く続き、この前奏曲の土台のようにです。



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フーガ第16番ト短調
6つの連続する8分音符はこのフーガの特徴です。私の心臓はこの連続する6つの鼓動でときめいてしまいます。


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前奏曲第17番変イ長調
冒頭のリズムはこの前奏曲を先へ牽引する動力になっています。しかし、みなさんは、この楽譜の書き方が珍しいので、このリズムを弾くことを難しいと思うかもしれません。でも、ひとたび弾いてみれば、難しいことのないことがお分かりにあり、そして素晴らしい世界へはいっていけるでしょう。

ところで、我が偉大な夫君はこの曲と第17番のフーガでは大譜表の上段をト音記号にして書きました。これはめったにないことです。このことについては若いJ.C.アルトニコルさんがト音記号の謎を解説してくれます。



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フーガ第17番変イ長調
この曲の元になった作品は、ケーテン時代に遡ります。出だしはさっぱりと単純に始まります。主題の中に臨時記号がないことにご注目下さい。しかし、全体としてはとてもよく織り込まれたフーガの名作です。皆さんは2つの対主題をお見つけになるでしょう。一つは、半音階的に下降していく四分音符でできた主題、いまひとつは、16分音符の装飾的流れの短くて速い変化です。


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前奏曲第18番嬰ト短調
この前奏曲は贅沢なのです。それは、2つの可愛らしい主題を持っていいるからです。一つは、第1小節に、もう一つは第2小節に現れます。まるで、第10番と第12番の前奏曲を一つにしてしまったようなものです。皆さんはこれを陽気な曲とお思いでしょうが、この前奏曲には心の琴線に触れるところがあるのです。



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フーガ第18番嬰ト短調
楽譜をご覧になると、それぞれの音符がなんとなく寂しそうなのがお分かりになると思います。それは、1小節のなかの音符の数が少ないからなのでしょうか?


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前奏曲第19番イ長調
これは田園風景音楽みたいでしょう。ヨハン・クリストフ・アルトニコルさんがそう言っていました。静穏で、なにも心配のない感じです。



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フーガ第19番イ長調
私はつい数分前まで田園風景のなかにおりましたが、今は忙しい。しなければならない多くのことが待っています。それでも、私は幸せな時間のなかにいます。


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前奏曲第20番イ短調
この前奏曲はイ短調なのだからとても単純でもよかったのです。あいかし、我が偉大な夫君、ヨハン・セバスティアンはそうはせず、最初の小節に10個の臨時記号を意図的に導入しました。第2小節にも10個の臨時記号を見つけられます。半音階的進行が導入されたのですから、まあ、当然といえば当然です。その結果は、ほの暗く美しいい曲になりました。そう、そしてこれこそ、イ短調の曲でした。
音符の長さについてみると、8分音符、16分音符、32分音符があり、ずれた8分音符も加えられています。普通は、こんなにいろいろな長さの音符があると、動きのある雰囲気になるのですが、この曲は、内に強い波を秘めながら、むしろ静穏さを表現すべきです。
2声部で、どちらの声部も基本的に同様な下降する半音階的進行を含んでいます。ある部分を取り出してみますと、ひとつの声部は豊かに装飾され、もう一つは単純な8分音符で動きます。そして両声部は平行運動をします。
それで、この前奏曲は、深く密に織り込まれた織物のようになりました。



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フーガ第20番イ短調
E-C-F-G#+休符 (ホ−ハ−ヘ−嬰ト−休符)という音列は何なのでしょう?
これらの音符は和音、あるいは和音進行なのでしょうか?
説明を試みてみますと、Im-Im-IVm-V7+休符、
あるいは、Am-Am-Dm-E7+休符、でしょうか?
それでは、次の音列 A-G-C-D#+休符、は何なのでしょう?
新しい表記の仕方で別の説明を試みてみますと、
Adim-C-Am7-B7+休符、となります。
そこで出て来るのが、Diminished 7th 減7の和音です。実際、この音列はカデンツだったのです。


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前奏曲第21番変ロ長調
ヨハン・クリストフ・アルトニコルさんはこの前奏曲を研究して、この前奏曲には「提示部」からなる新しい構造があることを見出しました。「展開部」、「再現部」もありました、アルトニコルさんは大変驚いていて、熱っぽく詳細を教えてくれました。とはいっても、申し訳ないことに、私は十分には理解できませんでした。ただ、わかったことは、私の夫の代表的な弟子としての音楽的能力を十分に持っているということです。



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フーガ第21番変ロ長調
このフーガは豊かな川の暖かい流れのようです。最初は小さく始まって、そして川に育っていくのです。


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前奏曲第22番変ロ短調
この変ロ短調の前奏曲は単純な3声のインヴェンションに見えます。ここには短い音符はありません。8分音符と4分音符が中心です。そして、第3小節の後半で、変ロの同じ四分音符が3つ、続いて鳴ります。これが鐘の音のようで印象的です。この形の音列は高さを変えて、何度も現れます。



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フーガ第22番変ロ短調
このフーガの主題は、4小節にまたがって続きます。長くてゆっくりしたものです。



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前奏曲第23番ロ長調
この前奏曲は生き生きと演奏したいと思います。でも、同時に、何か時の移り行きを思わせるのです。今咲きそろっている花々がしばらく後には散ってしまうように。



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フーガ第23番ロ長調
「ド ミ、ラ ファ、レ シ」は基本的かつ単純な和声進行である「 T、W、X」の分散形に過ぎないとおっしゃるかもしれません。しかし、このフーガにおけるこの主題のあとの部分での和声づけ の成果をみれば、この主題がもともとから素晴らしいものであったことを納得するでしょう。そして、みなさんは、この荘厳で強い主題がまことに印象的であるので、時間と空間が拡がったように感じることになるのです。


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私の平均律クラヴィーア曲集第2巻の勉強帳
1744年のアンナ・マグダレーナ・バッハ2010
--- これは創作です。---
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前奏曲第24番ロ短調

アレグロ
 ジャスミンの花 
3月21日の誕生日の花はジャスミンです。ヨハン・セバスティアン・バッハは1685年の3月21日に誕生しました。今は、私の偉大な夫君です。夫はコーヒーが大好きです。でも、私はちょっと。お茶のほうが好きです。特にジャスミン茶が。



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私の平均律クラヴィーア曲集第2巻の勉強帳
1744年のアンナ・マグダレーナ・バッハ2010
--- これは創作です。---
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フーガ第24番ロ短調
主題がロ音の上で2度目に現れる前に、最初の主題は「24」個の音を使ってしまう。もみなさんの数えてみましょう。とにかく、これは単純なフーガです。主題も臨時記号は一つしか使っていません。単純であるべきなのです。
24という数字は我が夫君、ヨハン・セバスティアンにとって特別です。私が第24番の前奏曲とフーガにやっとたどり着いたとき、夫君は私に「24本の黄色のカーネーション」の花束をプレゼントしてくれました。私は黄色のカーネーションが大好きです。夫君の私への思いやりに深く感謝いたします。

24本の黄色のカーネーション

これは、夫君の自書です。fine!
平均律クラヴィーア曲集第2巻の「終わり」ということです。


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